面白かった。
ただ、やっぱり千年も前に生きていた人たちの価値観に疑問を抱くこともたくさんあった。それは当たり前のことだと思う。
私が読んでいて印象的だったことをざっと書こうと思う。気取らず、生の言葉で書けたらいいな。
義仲と兼平
大学で先生が「乳母子というのは、絶対に裏切らない関係、恋愛とも友情とも言える固い絆」とおっしゃっていたように、義仲と兼平の最期のシーンは美しい主従の関係だった。主従というより恋愛だった。死によって引き裂かれる2人。
この物語の中にはいくつもの男女の仲の睦まじい様子が描かれていた。だけれど、1番愛情というか、お互いを想い合う様子を感じられたのは義仲と兼平の最期のシーンだった。
はじめは不思議に思っていたけれど、武士に生まれて、兄弟よりも長い時間を過ごして、戦場で何度も一緒に戦えば、何よりも固い絆で結ばれることだろう。一騎当千の武者の2人ならばなおさら、2人にしかわからない世界がある。不思議なことではなかった。
とても美しい関係だと思う。羨ましいと言ったら怒られるのかな、憧れる。よいものに触れられた満足感というか、そんな感情だ。
悲しくて愛おしくて儚くて切ない。平家物語全体に蔓延するこの感じ。胸を揺さぶられる。
遺された皆々が祈り、弔い、ひたすらに後生を願ったように、私もこの時代に散った人々の後生を願いたい。